リスク管理の取組み
リスク管理の取組み
金融機関を取り巻く環境は、金融・経済のグローバル化、情報技術の革新等により複雑・多様化しており、金融機関経営は、様々なリスクに適切に対応していくことが重要となっています。
当会では、系統金融機関として、経営の健全性・適切性を確保するため、リスク管理を経営上の最重要課題のひとつと位置付け、経営管理委員会にて決定する「リスク管理の基本方針」に基づき、理事長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を中心として、「統合的なリスク管理体制」の構築に取り組んでいます。
●リスクマネジメント委員会
本委員会は「リスク管理の基本方針」に基づき、経営に内包するリスクを統合的に管理するとともに、リスク運営を踏まえたALM管理による安定的な収益確保を図るため、総合的な資金運用機能の実践により、適切な経営の判断に資することを目的としています。
●リスク管理
経営の健全性・安定的な収益の確保を図るため、また、当会の業務等から発生するリスクを適切に管理するため、個々のリスク管理はもとより経済資本管理、統合的リスク管理に努めています。
●ALM管理
金融機関の資産・負債は金利変動等の影響を大きく受ける構造に変化していますが、当会では、資産および負債のバランスを考慮し、それぞれから発生するリスクを適正な水準に保ち、収益の安定化や最大化を図ることにより、財務の健全性維持と安定的な収益確保に努めています。
具体的には、国内外の経済情勢を把握するとともに、金利予測分析等により金融情勢の変化に柔軟に対応できる財務内容の構築に努めています。
●事業継続計画(BCP)について
事業継続計画は、大地震等の自然災害やシステム障害等、不測事態が発生した場合の被害を想定し、当会の事業継続を図り、問題箇所の迅速な復旧を行うことにより、会員、取引先への影響を最小限に抑えることを目的としています。
このため、事業継続計画においては、体制整備、事業継続策の発動基準の設定、継続業務の特定、事前対策としての平時対応、災害等発生時の初動時ならびに継続対応、被災JAからの要請に基づくJAバンク相互連携、JA・マスコミ・行政への対応等について定めています。
統合的リスク管理
「統合的リスク管理」とは、直面するリスクに関して、自己資本比率の算定には含まれないリスク(与信集中リスク、金利リスク等)を含めて、それぞれのリスクカテゴリーごとに評価したリスクを総体的に捉え、経営体力(自己資本)と比較・対照する自己管理型のリスク管理をいいます。
当会は、「統合的リスク管理要領」を定め、「統合リスク管理」として各種リスクをVaR(バリュー・アット・リスク)等の統一的尺度で計測し、各種のリスクを統合(合算)して経営体力(自己資本)と対比して管理を行っています。
経済資本管理
「経済資本管理」とは、「内部管理上の自己資本管理」であり、リスクを共通の枠組みによって統合的に把握し、経営体力を示す自己資本(経済資本)に見合ったリスク量にコントロールするとともに、保有資産の収益性・効率性の向上を目指すことです。
当会は、自己資本を基本に「配賦経済資本」を設定のうえ、有価証券運用部門、預金運用部門および融資部門の3部門に配賦し、月次でのモニタリング・管理を行っています。
各種のリスク管理
●信用リスク管理
信用リスクとは、信用供与先の財務状況の悪化等により、資産の価値が減少ないし消失して損失を被るリスクのことです。
当会は、「統合的リスク管理要領」を定め、保有資産の信用リスク量を計測することによりポートフォリオ全体のリスクバランスをコントロールすることや与信先の内部格付等を実施し、適切な管理に努めています。
●市場リスク管理
市場リスクとは、金利、有価証券等の価格、為替等の様々な市場リスク・ファクターの変動により、保有する資産・負債の価格が変動し損失を被るリスクのことです。
当会は、「統合的リスク管理要領」を定め、保有資産・負債の市場リスク量を計測することにより、ポートフォリオ全体のリスクバランスをコントロールすることや市場環境変化等へのモニタリングを実施し、適切な管理に努めています。
●流動性リスク管理
流動性リスクとは、運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になるリスク(資金繰りリスク)や市場の混乱等により市場において取引ができなくなるリスク(市場流動性リスク)などの損失を被るリスクのことです。
当会は、「統合的リスク管理要領」を定め、「ALM管理」の中で、的確な資金動向の把握により流動性を確保することや市場混乱の発生原因等の分析・評価を行い、適切な管理に努めています。
●オペレーショナル・リスク管理
オペレーショナル・リスクとは、金融機関の業務の過程、役職員の活動若しくはシステムが不適切であることまたは外生的な事象により損失を被るリスクであり、「事務リスク」、「システムリスク」、「法務リスク」等の損失を被るリスクのことです。
当会は、「統合的リスク管理要領」を定め、危機管理計画・自主検査の実施等により個別リスクの未然防止やリスク情報の一元管理、リスクの分析・評価を行い、適切な管理に努めています。
■事務リスク
業務の過程または役職員の活動が不適切であることにより、損失が発生するリスクである。具体的
には、規定等に不備があり適切な処理が行われずに事故・不正等が発生することにより損失を被るリス
ク。
■システムリスク
コンピュータシステムのダウン、誤作動、システム不備等に伴い金融機関が損失を被るリスク。
■法務リスク
経営判断や個別業務の執行において、法令違反や不適切な契約締結等に起因し、損失が発生した
り、取引上のトラブルが発生するリスク。